Interview by YOSHITAKA KURODA(ON READING)
東山公園のbookshop&gallery ON READINGでは、定期的に様々なアーティスト、クリエイターが展示を開催しています。 このコーナーでは、そんな彼らをインタビュー。搬入中のざっくばらんな会話をお楽しみください。
今回は、 広告、雑誌、商品などのイラストを中心に、様々なクライアントワークを手掛ける一方、
―大学では、デザインを学ばれていたんですよね?
具体的に目指しているものがあったわけではないんですが、本や雑誌が好きで、そういうものを総括して紙ものを作るというイメージでグラフィックデザイン科に入りました。はじめは普通の大学を目指していたのですが目的が全然定まらなくて上手くいかなかったんです。その後その当時行っていた予備校の先生のすすめで美大の予備校に行って、石膏デッサンとか静物デッサンを始めたら、すごく楽しくて。絵だけ描けばいい一日があるなんて思ってもみなかったんです。その年、多摩美のグラフィックデザイン学科に合格しました。
元々絵は好きだったのですけど、だからこそ、絵を仕事にするのが怖くて。自分の大好きなことと、「仕事」は分けておかないと、逃げ場がなくなると思っていたんです。ただ最終的に、私にはそれしかなく。背水の陣というか覚悟が決まったというか、迷う道がなかったからかえってよかったかもしれないです。いろんな事ができる人の方がひとつの道に絞ることは難しいだろうと思います。
―どんな大学生活でしたか?
大学に入るまでにちょっと遠回りした分、大学入ってからはすぐに現場が見たくて、1年生の時にある出版社の読者ハガキに「お手伝いしたいです」と書いて送りました。そしたらお返事が来て、お手伝いさせていただけることになったんです。そこで関わった書籍に編集補助として名前を掲載していただけたことがあって。世の中に出版された本に初めて自分の名前が載ったことにとても感激したのを覚えています。
大学に行く時間より、外で大人の人たちに会う時間のほうが多かった気がします。会いたい人に会いにいったり、雑誌の編集部でバイトしたり、レセプションに誘ってもらって顔を出したり。学生だったからかいろいろ教えてもらえたし、大学に来ていたデザイナーさん達に連絡とって作品みてもらったり、自分で名刺作って渡したりしていました。
―動いていれば、何かしら繋がっていきますよね。卒業してすぐにフリーランスでイラストレーターとして活動し始めたんですよね?どこかに就職したりせずに。
そうでした。大学生の時、インターンをしていたデザイン事務所で関わらせていただいたお仕事のつながりでイラストレーションのお仕事をいただいて、それがきっかけで少しずつ新しいお仕事につながっていきました。ただイラストレーターがどんなことをするのかを教わったわけではなく始めてしまったので、仕事が来るたびに手さぐりでした。
―描きたい絵と要求される絵というのに葛藤があったりしたんですか?
最初は葛藤がありました。若気の至りなんですけど(苦笑) 自分でもやれることとやれないことがわからなかったから、できないことがあると自分を追い込んだりしてしまってて。描きたい絵じゃない!みたいな理由に逃げていました。 今は、相手が何を求めているか、自分をどう活かせばいいかなどコミットの仕方がだんだんわかってきて、要求に応えることも楽しめるようになってきました。
―世の中に塩川さんの作品がたくさん出るようになったっていうのも大きいでしょうね。
そうですね。ある程度イメージの共有が出来ている状態からなので、その分挑戦もしやすくなりました。今は仕事がとても楽しいです。それに、私、絵を描いていなかったら人と出会うこともそんなになかったと思うし、絵を描いているということで、本当に多くのことを経験させてもらってる感じです。
絵を描くことは、人と出会うためのツールだなと思います。
―小さいころから本が好きだったそうですが、どんな子どもだったんですか?
母親が幼稚園の先生だったので、絵本は小さい頃から身近な存在で、本に関わることがしたいなあとぼんやりと思っていました。林明子さんの「はじめてのおつかい」や長新太さんの「キャベツくん」、田島征三さんの「だいふくもち」、神沢利子さんと山脇百合子さんの「あひるのばーばちゃん」など好きでした。図書館もすごく好きで、よく入り浸ってましたね。
―10代の頃はどんなものが好きでしたか?
あまり覚えていませんが、体を動かすのは好きでした。女の子ぽいものが好きじゃなくて、スカートははかないぞ、涙は見せないぞ、とか自分の中に規律があったり、かなりマイペースだったと思います。
―影響を受けたり好きなアーティストはいますか?
たくさんいます。藤田嗣治、ホックニー、クレメンテ、小村 雪岱、ウォーホールの線画など、、挙げればきりがないですが。人物や動植物の絵が好きでした。大学を卒業をして仕事を始めてからの方が絵を深く見るようになりました。「描く」ということに引きつけて見れるので。絵本で言えば、長新太さんは永遠の目標ですね。飄々としてギャグみたいで。でも愛がつまっていて…
―塩川さんの絵にもそういうとこありますよね。研ぎ澄まされた線の中に、滲み出ちゃう愛おしさというか。今後やってみたいことなどありますか?
版画とか木彫とか陶芸とかもやってみたいです。もちろん絵を描くことは大好きで、これからも続けていくつもりですが、それとはまた違う感覚で違う素材とやりとりをしてみたい。一方で、ペンタブレットで描くデジタル画にも興味があります。
―今回の展示、および作品集「(between)YOU&ME」について、聞かせていただけますか?
「(between) YOU&ME」はELVISPRESSさんに企画していただき、応募していただいた方を描きました。どの関係にもドラマがあって、エピソードを読みながら胸が熱くなったり。架空のポートレイトとは違って、両者の関係を軸に2枚で1つみたいな感じで描いていったので、見開き見開きでそれぞれの濃密な物語を想像して観てもらえると嬉しいです。(作品集には)テキストも入れてあるのですが、それ以上の言葉にならないふたりだけの関係性も表現できればと思って描きました。いろんな方がいて、描いていてとても面白かったです。
2015年12月16日(水)~2016年1月11日(月)
塩川いづみ個展「(between)YOU & ME」
会場:ON READING 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
営業時間:12:00~20:00
作家在廊:12月16日(水)
定休日:火曜日
※年末年始の休業:12/31、1/1、1/5~7は休業。12/29(火)は営業。
問:052-789-0855
www.onreading.jp
塩川いづみ Izumi Shiokawa
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。 東京在住。広告、雑誌、商品などで活動するほか、展示会で作品の発表もしている。最近の仕事に、京都一保堂茶舗やCLASKA shop&galleryDOのオリジナル商品、きものやまと『DOUBLE MAISON』のイラストレーションなど。
http://shiokawaizumi.com
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