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WHAT ABOUT YOU? #20 / えちがわのりゆき

Interview by YOSHITAKA KURODA(ON READING)


東山公園のbookshop&gallery ON READINGでは、定期的に様々なアーティスト、クリエイターが展示を開催しています。

このコーナーでは、そんな彼らをインタビュー。 今回は、“うんころもちくん” “ほわころちゃん”で知られるまんが家、イラストレーターのえちがわのりゆきさんにお話を伺いました。


―えちがわさんはどのように今の活動を始められたんですか?

僕は絵の活動を始めたのが遅くて、28歳くらいからなんです。それまでは音楽をずっとやってたんですが、だんだんと絵も描きたくなって。大学は英文科で、美術の教育は受けていないんですが、バンドをやっていた時も仲間たちと「少年ホープ」っていう漫画雑誌を作ったり、絵はずっと描いていました。

―いいですね(笑)バンドは大学生の時からですか?

そうですね。僕がいたのは明治学院大学のソングライツというサークルで、そこはフィッシュマンズやミッシェルガンエレファントも出た、60年代の音楽が好きな人が集まっていた面白い団体でした。僕がいたCLISMS(クリスマス)というバンドは、リトルクリーチャーズのCHORDIARYというレーベルからCDも出してもらいました。青柳さんプロデュース、ワールドスタンダードの鈴木さんがミックスという夢のような環境で。

―すごい!そこからどうやって絵の活動へ向かっていったんですか?

バンドはどんどんアバンギャルドな方向性になっていったんですが、僕はジェイムス・テイラーとか70年代のSSWが好きだったので、もうすこし生活に近い音楽がしたいなと思ってバンドを抜けて、ひとりで歌ったりしていたんです。でもそれもあまりうまくいかなくて、何がしたいんだろうって考えたら、絵が描きたいなと思ったんです。といっても、どうしていいのかわからなくて、その頃、kiiiiiiiというバンドをやりながらイラストレーターとしても活動していたレイキン(多田玲子さん)と、同じサークルの友達でイラストレーターの山崎美帆ちゃんに相談して。まずはホームページを作って、友達のイベントのフライヤーとか描きながら地道にブログにアップしていました。そうしたら、雑誌の「tocotoco」からいきなり連載のお仕事がきて。それはすでに「tocotoco」で描いていた山崎美帆ちゃんのホームページのリンクから僕のホームページを見てくれたそうで。あとはZINEを作って、レイキンに紹介してもらって下北沢にあったころのcommuneとか、にじ画廊に置いてもらったり。ほんとにレイキンと山崎美帆ちゃんのおかげです(笑)


<個展「そっとね」(Nidi gallery/2013)に向けてつくったアニメーション作品>

―2013年「うんころもちれっしゃ」がリトルモアから出版されました。これはどういった経緯だったんですか?

東京の芝生ギャラリーで展示をしていた時に、雑誌「真夜中」の編集長の熊谷さんが観に来てくれて、自費で作っていた「うんころもちれっしゃ」を気に入ってくれて。リトルモアから出してもらえることになりました。

―今回は、漫画「ほわころくらぶ」の発刊記念の展示なのですが、「うんころもち」とはまたちょっと、変わったなという印象でした。「うんころもち」から「ほわころ」への移行にはどういうことがあったんですか?

東京から京都へ引っ越しをしたことが大きな転換期になったんです。「うんころもち」は、自分がうんこかもちかわからなくて自分探しをしている、というキャラクターで、どこかアナーキーな部分があったんです。画家のnakabanさんにも以前、「うんころもちはロックだね」って言われたんですけど、自分のなかのパンク精神が込められていたんだと思うんです。 「うんころもち」を出して少ししてから、それまでしていた仕事もやめて、15年住んでいた東京から京都に引っ越ししたんです。そうしたら、満員電車には乗らないし、ストレスが減って、そうすると、そういうものはもう書けないんですね。「うんころもち」は闘いながら、自分をはげますために描いていたところもあって。今描いている「ほわころちゃん」は、最初は、白いほわほわした犬の絵として描いていたんですが、だんだんとバッググラウンドを肉付けして今のキャラクターになってきました。「うんころもち」とは違って、メッセージ性もなく、ただほわっとしているっていう。

―ただほわっとしてころころしている、なんてある意味物凄く潔いキャラクターですよね。ほんとうのかわいいを目指すなんて、すごい難しいことじゃないですか。

そうですか?自分ではもうわからないんですけど(笑)「うんころもち」から変わっちゃったな、って残念に思っている人もいるかもしれないんですけど。「うんころもち」は、少し大人向けのキャラクターだったんですけど、自分のしたいことを見つめなおしてみると、自分はサンリオとかスヌーピーとかが好きだったな、と思って、「ほわころちゃん」の進むべき道を探っていったって感じです。 でも基本的には僕の描いているものは、それぞれが全然別の世界のものではなくて、どこかの同じ星に住んでいると思っています。「アラレちゃん」と「ドラゴンボール」みたいな。

―じゃあいつかどこかでクロスオーバーしたり、同じ世界に住む、他のキャラクターとかもこれから出てくるんですかね。楽しみです。えちがわさんは、どんな子どもだったんでしょう?

子どもの頃から夢が「漫画家」で、ずっと絵は描いていました。小さいころは少年漫画ぽい絵も描いてたし、今につながるような絵も描いてましたね。水木しげるがすごく好きで、中学生のころには古本市行って、手塚治虫とか水木しげるの初版本を探したりしていて。石ノ森章太郎とか、藤子不二雄の「まんが道」の頃の人達が好きでした。古いのが好きだったんですね。

―特に影響を受けた人や作品、大好きだったものはありますか?

やっぱり、水木しげるかな。絵のうまさに目がいくけど、キャラクターの造形は愛嬌があってかわいらしいんですよね。あと大人になってから、長新太さんの「なんじゃもんじゃ博士」に出会って。なんでもないような日常の中で、ヘンテコなことが起こったり、ちょっとしんみりしたりきゅんとしたり。こういうのが描きたい!と思って始めたんです。あとは、長谷川町子や、さくらももこの「ちびまる子ちゃん」。長谷川町子さんは、4コマという少ないコマの中で、何気なく後ろにいる子の表情とかまで考えて描いてるんですよね。新聞といういろいろな制約もある中で端々まで考えて抜いていて、面白さを本気で追求していた人だと思うんです。

―やっぱり漫画がベースなんですね~。

そうですね。今もイラストレーターというのも肩書に入れてますけど、自分は漫画家だと思っていて。たとえば、僕はずっと個展では、原画を販売してなくて。原画に対する愛着がありすぎて手放せないっていうのもあるんですけど、絵を売るわけではなく、本を見てほしいっていう気持ちでやっています。 僕は、生活の中にある身近なところにあるものを作りたいというのがあって。いつも近くに置いておいて何回も見たくなるようなものを作りたいと思っています。

―名古屋のファンにメッセージをお願いします。

名古屋といえば、兄が岐阜の大学に通ってて、中学生のころ遊びに来て、名古屋のデパートでCDを買った思い出があります。ビートルズの「REVOLVER」でした。名古屋での個展は今回初めてなので、ぜひ、みなさんに見に来てほしいです!

イベント情報

2017年1月25日(水)~2月6日(月)
えちがわのりゆき個展 『ほわころくらぶにおいでよ』
会場:ON READING  名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日
問:052-789-0855
http://onreading.jp/

えちがわのりゆき
まんが家・イラストレーター。ほわころくらぶ会長。著書に「ほわころくらぶ」(夫婦社)、「そっとね」「うんころもちれっしゃ」(共にリトルモア)
http://www.echigawanoriyuki.com/

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