2015.03.18.Wed - 03.31.Tue | LACHIC (栄)
名古屋のファッションシーンに新たな可能性を見出すための試み。
2015年3月18日(水)〜31日(火)に、企画「Inter view」が開催される。初開催となる今回は、栄「LACHIC」を舞台に、東京から2つのブランドを招き、期間限定のポップアップショップを展開。
同企画ディレクションは、THE SHOPやcoffee,pleaseなどで形態を変えつつも、ローカルにおけるさまざまなヒトやモノをリアルな現場に展開し、クリエイティブをよりユニークな形で見出す動きをみせてきた、五十嵐光一。
「現在の名古屋におけるファッションシーンには、いまだ展開されていないモノ(ブランド、デザイン)がいくつもある。その理由として、地域性やそこに付随するファッション性の差など、要因はさまざまに存在するものの、まずは実際にそのモノに触れる/体感する行為に至る機会を与えたい。そこで、そのモノの持つ真価をこの土地で生活している方々に問うべきではないのか」と彼は言う。
そこで、実際に、名古屋エリアでは現状、展開されていないブランドのアイテムを集め、さらにその作り手であるクリエイターも招聘する「Inter view」という企画を展開することに。
モノ/作品を見てもらうだけでなく、ヒト/作り手も招くことが重要。
「東京と名古屋、都市とローカル、お互いのシーンや現状をリアルに見つめ合い、対話し、刺激を与え合う(=interviewの語源でもある)ことで新たな可能性を見出したい、体感してもらいたい」そんな五十嵐氏の狙いも垣間見える。
彼のこの考えに影響を与えたのが、実は、今企画の最初のゲストでもある、KENNETH FIELD・草野健一、MOJITO・山下裕文という2人のデザイナーなのだそう。
名古屋のファッションシーンにいわば一石を投じる、その第一投を振りかぶる前動作として、まずは両氏に、五十嵐氏が直接インタビュー取材を敢行。2人の手がける作品/服に対する純粋な思い、そこに行き着いたこれまでの経験と、これからの展望について…さらには、東京〜名古屋のファッションシーンについて双方向から見たとき、果たしてそこに何が見出されるのか。
さまざまな思いと言葉が行き交う「Inter view」開催直前インタビュー。
―――
山下裕文[MOJITO デザイナー]
―――
SPECIAL INTERVIEW WITH…
KENICHI KUSANO (KENNETH FIELD)
AND
HIROFUMI YAMASHITA(MOJITO)
――それでは、よろしくお願いします。ではまず、お二人の経歴からお願いします。
山下:僕は熊本県出身で、高校を卒業して18歳で東京に出てきて、服飾専門学校を卒業して、最初は、スタイリストのアシスタントに就職というか弟子入りしました。僕らが若い頃は、給料は(月)8万円で、その他に交通費と食事代3食分が出ました。で、半年間は試用期間で。それが終わった半年目から向こう1年間のスケジュールが決まるので、やるか/やらないかをそこで判断しないといけない。そうしないと1年分の仕事が瞬時に(一気にまとめて)入ってしまうので。大きいプロダクションだったので。…ま、そういう話はどうでもいいんだけれど、その後に、今の僕の基礎というか人格形成に繋がる原宿の「プロペラ」というお店に勤務をして、その後はいろいろあって、1993年にフリーになって、95年に会社を作って、2010年に、MOJITO(モヒート)を立ち上げました。
――では、草野さん、お願いします。
草野:僕は、2012年春に前職のBEAMSを辞めて独立しました。以上。
――(笑)。もうちょっと何かエピソードください…。
山下:海外放浪記の話は?
草野:そうそう。BEAMSに入る前に語学学校とか放浪の旅に出ていた時期があって、やっぱ海外に一回は住んでみたかったのと、短期留学がしてみたかったので、1ヶ月半くらい行ってました。戻ってきてから、「さぁどうする?仕事」となったときに、手を差し伸べてくれたのがBEAMS時代の上司・星名さんでした
――お2人のブランドについて、内容などの紹介をお願いします。スタートさせた理由とブランドコンセプト、キーアイテムやカラーについてなど…。
山下:僕のモヒートっていうブランド名は、僕が大好きな文豪のヘミングウェイが好んで飲んでいたと言われるお酒「モヒート」からなんです。男性服を作りたくて、アメリカが好きで、自分が求めるアメリカのアイコンは何かな?って考えたら、それがヘミングウェイだったんです。
――ちなみにヘミングウェイのどこに惹かれたんでしょうか?
山下:彼は、自分が会った人とか、食べた物とか出合った出来事とか
(一同笑)
山下:影響を受けた1枚の写真があるんですね。で、その写真を今日見せようと思って。。。実は、この写真が僕のモヒートを作るきっかけになったんです。
山下:これなんですよ。この写真が、ヘミングウェイのすべてなんですよ。
――えっと…どういうことですか?(笑)
山下:これは…えーっと何て言えばいいのかな〜。男性とか男とかそういうキーワード…男が理想とするものをヘミングウェイはすべて備えていたんですよ。ノーベル文学賞を受賞した知的財産を豊富に持っていて、奥さんを4人変えていて、世界中旅をして、食い物にはめちゃくちゃうるさくて、釣りをやって、酒を飲んで…。名声も富もすべて、(アメリカの)一番良かった時代に持っていたっていう。だから、”アメリカンマッチョ”って言われるヘミングウェイのスタイルっていうのが、この写真にすべて含まれているんですよ。
――ちなみにこの女性は?
山下:このひとが4番目の奥さんのメアリーで。。。まぁ僕らどうしても服屋なんで、このメアリーのベルトとか、アクセサリーとか…こうゆうところからデザインが始まるわけですよ。で、モヒートというのはあくまでも男服なんで、そういうことを表現する上でヘミングウェイという自分が好きだったアイコンに結び付けて、本を読んで写真を見て自分なりにいろいろブランディングをして…。時間をかけて。40分くらいだけど(笑)。
――“40分も”ってことにしておきましょう(笑)。では続いて、草野さんお願いします。
草野:ブランドを始めたきっかけは、
――お二方はお店を持とうとは考えなかったんですか?
草野:お店って、やはり一番お客さんと接することのできるスペースですし、自分たちが表現したいことを表現できる場所でもあるので、やりたいなぁとは。可能性としてはゼロではないと思います。ただ、今はお取引先様とか、お店のスタッフの方とか、バイヤーをされている方とか、オーナーの方とかが一生懸命に僕らのブランドをお客様に伝えようとしてくれているので、今はそういう時期ではない、かなと思います。
――お二方のブランドには、特徴的なキーアイテムがあると思うんですけど「コレだ」というのはありますか?ココを見てほしいとか?
山下:僕のブランドで自信を持ってお薦めできるのが、「アブサンシャツ」です。これは僕のスペックでアメリカのシャツブランド「インディビジュアライズドシャツ」をカスタマイズして作った、「モヒートフィット」というネームが付く開襟シャツです。毎年、春も夏も形を変えずにずっと定番として売り続けています。で、「アブサン」っていうお酒があって、すごく…ちょっと中毒性が強いお酒で、ヘミングウェイ、ピカソ、モネ、太宰治もアブサンで虜になってい
(一同笑)
――なぜか着ていない(笑)
山下:それはもうご想像にお任せしますってことで。
――(笑)。では、ケネスフィールドはどうでしょうか?
草野:ケネスフィールドの代表的なアイテムは、ファーストシーズンに発表した「4フェイスタイ」です。これは12年の秋冬からブランドをスタートさせるときに、まずはタイっていうよりもスカーフを作りたくて。首に巻けて自由に使えるもの。で、出来上がったらタイになっていたと。あとは、「グルカトラウザー」。
――では、お二人のブランドの今季のテーマについて教えて下さい。
山下:僕は、あえてテーマというのはコレクションの中では設けていないですね。例えば、「バハ・カリフォルニア」とか「パリ・テキサス」とか、そういう自分の中でのキーワードはイメージとしては持っているんだけど、それがテーマ付けされて発表したことはないですね。だから、“テーマは特に持たない”がテーマです。ただ、15SSからモヒートの中でカプセルコレクションというか、そう
草野:ケネスフィールドの春夏のテーマは、“洋服の可能性と着こなしの可能性”っていうのをテーマにしました。やっぱり、いつもお客さんに提案したいなって思っているのは、「もっと洋服を楽しみましょう」というところで。まあ、それを毎シーズン違った言葉を使って、テーマ付けの元に提案しているということなので。基本的には毎シーズン何ら変わりはないんですけど、今シーズンはそういう“洋服の可能性と着こなしの可能性”。いま、「HOUYNHNM」のブログで毎日更新しているんですけど、そちらも見てもらえると…。
――では、名古屋のイメージについてお聞きしたいんですが。まず、僕から見た東京のイメージは、やはり常に最先端で、どちらかというと名古屋にはないような動きだったり、企画とかがフレキシブルに行われているっていうイメージがあるんですけど、逆に、東京にいらっしゃるお二人から見た名古屋ってどういうイメージなのかな?って。
山下:僕らもまだイベントを名古屋でやったことないし、初めてで。まだ知らないっていうか。だからこそ、やりたいっていうのもあって。
――名古屋に可能性を感じている?
草野:可能性という点においては、東京と大阪の間だからこそのフラットな感覚のある<普通
山下:結局ほら、僕らの目線で僕らがやりたい洋服がこの街にぴったりですとか、こういう街で僕らの洋服を着ていただきたいですって、無いんですよ。
――あはは(笑)今、「どういった方に着ていただきたいですか?」って質問をしようと思ってたんですが、そういう想定もないってことですか?
草野:そういう意味でも、よりフラットな場所で、フラットな人た
――なるほど。では、今回ラシックという場所はいろんな方がいらっしゃるんで、ある種、ちょっとした挑戦でもありますね。お二人は付き合いの長いご友人でもあると存じてますが、お互いの印象について今、言えることってありますか?
山下:(話したら)全部「ピーーー」になる(笑)。
――(笑)。
山下:やっぱり、お互い洋服のブランドをやっていて、お店の同じ売り場で売ってもらっていて、ある程度共存できていて、お互いに売れていくっていうのが一番理想なんですけど。(草野さんの方を見て)それはねぇ、自分が持っていないものを持って上手く表現…上手くっていうとアレだけど、凄いなぁって思いますよ。僕にはできないことを難なく毎回こなしているっていうか。あの、服づくりでね。
草野:まぁそれはお互いにね。
――お二人とも内面は対照的ではありますもんね。どちらかというと。
山下:たぶん、お互いの洋服で今まで作ったものを全部集めて、1ヶ所に全部並べてみて、評論家みたいな人が一言で表現したら、「この人たちはきっと洋服を着て楽しければいい」っていう程度なんだろうな、と。その程度っていうのが軽い意味ではなくて、そこをやりたいんじゃないのかなって。それをやりたいがために「素材が何だ」とか、「歴史が何だ」とか「ヘミングウェイが何だ」とかいうちょっとした理論武装をしているような、実はベースにはただ単に二人とも洋服が好きで、その“好き”を伝えたいがために作って、それで商売ができれば、飯が食えればいいかみたいな感じですかねぇ。
――なるほど。
山下:ね、よく言うと。
草野:もっと言うとそれでモテたらいいなぁとか(笑)
(一同笑)
山下:いやでもねぇ、男の究極はそこ。
――まぁそうですよね。僕もモテたいがために洋服業界に入りましたから。根底には下心が多少はあるでしょうね(笑)では、お二人の将来的な展望についてお聞きします。今後、モヒート、ケネスフィールドでどういったことを考えられていますか?
草野:いやぁ、明日のことしか考えていません。
――(笑)。
草野:まぁ、ずっと同じようにやっていければいいよね。同じようなことをずっとやっていきたいんだけれど、同じことをずっとやるためには同じようにやってたら続けられないから。
山下:たぶん二人ともある程度は経験をちょいちょい積んで。たぶん、あーせいこーせいって言われるのがイヤなんですよ。たとえば上司から。で、なんでかって言うと自分のやりたいことがあるから。だから、自分がやりたくて、着たい…着たいっていうとまたちょっと違うんだけど、そういうものが作り続けられればいいかもわからないですね。そういう風にしていきたい。それはまぁ、売らなきゃいけないんだけど。その環境を整えるために。
――では、最後に何か読者の皆さんに一言を。
山下:あのね、これ見えます?モヒートのネームタグなんですけど。一番最後に「サルーテライフ」って…「サルーテ」って乾杯っていう意味なんですけど、「人生に乾杯」って意味があって、これ好きな言葉で。これかな。一言は。
草野:とにかくいろんな人に見に来ていただきたいですね…とにかく見に来てください。良い機会なので。それで、
――そうですね。今回をきっかけに、お二人の名古屋進出をお手伝いできたらなと考えていますので。3月18日から始まる「Inter view」楽しみにしております。本日は、ありがとうございました。
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