2015.10.06.Tue | 名古屋渋ビル研究会 / 第5回 コラム 寺嶋梨里
忘れた頃にやってくる、名古屋渋ビル研究会のコラム。
5回目となる今回は、前回に引き続き渋ビルを構成する重要な要素のひとつである「窓」に注目します。ビルの外観を個性豊かに彩る窓の造形を堪能しましょう。
窓の基本は「連続窓」と「ポツ窓」
渋ビルの窓の種類は大きく分けて2つ。まずは水平方向に連なった「水平連続窓」。建築界の巨匠ル・コルビジェ先生が近代建築の五原則のひとつとして提唱しました。 もうひとつは、外壁に対してポツポツと独立してもうけられた「ポツ窓」。こちらは開け方のセンスひとつでビルの印象が大きく左右されます。 今回のコラムはユニークなポツ窓をピックアップしてご紹介します。
窓形状・配置・装飾でビルの個性を演出
ポツ窓には形状や装飾により非常にたくさんのバリエーションがあり、ビルの外観の印象を決定づける大きな役割を果たしています。 形状は大きく分けて、四角形、多角形、角丸の3種類。
●四角形
オーソドックスな四角形の窓を持つビルは、端正で硬派なものが多いです。
●多角形
珍しい八角形の窓を持つ個性的なビル。サッシは特注したのでしょう。コストや工期がかかるためか、最近の建築にはほとんど見られないタイプです。
●角丸
第1回のコラムでも取り上げた角丸モチーフ。当時は大流行でした。角丸サッシは当初、鉄道車両用アルミサッシのメーカーが作っていました。
タイル編に登場した丸美観光ビルもかわいい角丸窓。↓
珍しい半分だけ角丸タイプも。↓
装飾もいろいろ
形状だけでなく、窓を縁取るフレームや庇に工夫を凝らしたものが多く見られるのもポツ窓の特徴。
最高のポツ窓を持つ傑作ビル
最後にポツ窓界、いや名古屋のビル界でも最高の渋ビルをご紹介します。 日本のモダニズム建築界を牽引してきた建築家・坂倉準三氏が設計を手がけた「中産連ビル」。ポツ窓の美しさ、可愛さを最大限に生かした最高傑作です!
内部は窓の配置と木ルーバーの割付がピタッと合う、精密なインテリア。↓
以上、2回に分けて渋ビルの「窓」の魅力をお伝えしてきました。 いかがでしょう?街にあるビルの窓、気になってきませんか? 中産連ビルについては、2015年5月に発行した名古屋渋ビル手帖 中産連ビル特集号でも総力特集しています。よかったらチェックしてみてくださいね。(https://shibubuilding.themedia.jp/)
名古屋渋ビル研究会
寺嶋梨里と謡口志保による名古屋の渋いビルを愛でる会。
月一回程度、街歩きしながら2人の琴線に触れた渋ビルを褒めたり撮影したりする。
※「渋ビル」は基本的に2人の主観によるものです。
https://shibubuilding.themedia.jp/
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