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糸りとり 第19回|井本 幸太郎

_shi_ri_to_ri_ by なるじあき

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しりとりと読みます。日頃、糸を使ったり使わなかったりするアーティストの方々に、「糸」を使った作品を制作してもらい、作品タイトルを「しりとり」でリレーしていくという、ゆるカッコEコーナーです。

 

_______

第19回目のゲスト作家は、井本 幸太郎さん。
2014年3月にテレビ塔でのLIVERARY主催イベントに「アトリエみちくさ」として、出店していた彼に声をかけたのが出会い。
共通の友人が多いからか、前から友達だったと錯覚するほど自然に話が弾みました。勝手に同じ匂いのする人認定。
(後に、誕生日が同じだと発覚。笑)

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


「い」➡『いつもの』


「いつも描くもの」を具現化してみた

 

 

 

 


オーパーツのような棒の塊

絵の中のどこかに描いておくと安心できる「いつもの」やつ

 

 

 

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異素材の違和感

 

 

 


作っていくうちに、気がついたこと

実はこれは、”生きている植物という設定である”ということ

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 

井本 幸太郎さんに、聞いてみた

 

なるじ:
タイトル「いつもの」は、「いつも描くもの」という事だけど、それはどういうものかな?

 

井本:
シュルレアリスムの手法、デペイズマンが好きなのもあって、よく絵の中にオーパーツのような棒の塊を描いていて。単純に、どこかに描いておくと安心できる「いつもの」やつを、スケールダウンして具現化してみようかなと。

 

なるじ:
描いておくと安心できるって何でだろうね、自分自身を投影してるのかなぁ。
その「いつもの」を平面でなく、立体作品として具現化してみてどうだった?作業中、作業後の感覚とか。

 

井本:
作っていくうちに、実はこれが生きてる植物という設定であることに気づいて。(笑)

 

なるじ:
絵の中に刺さっていたのを、実際に引っこ抜いてみてわかったんだね(笑)
今回のポイントは?

 

井本:
ポイントは矛盾感というか、何かそぐわない違和感、なのかな。

 

なるじ:
何かわかる、きれいにまとまってる方が不自然というか、少し違和感あるものに魅かれる。
スチレンボード、糸、土と植物とのミクスチャー感が、幸太郎さんならではだなぁと。では、大変だったことは?

 

井本:
最初、鉢植えに植わった状態で制作していて、完成直前に鉢がパカーンと割れて。。(泣)
一点もので他にちょうど良い鉢が見つからなくて、最終的に引っこ抜いた感じに路線変更したという。。

 

なるじ:
わぁー!それは泣けるねぇ。しかも代わりの鉢が無いなんて頭真っ白になるね。そういうピンチがあった事で、この土と根っこの面白い作品に繋がるんだね。

幸太郎さんの描く緻密なペン画は、いつ頃から描くようになったのかな?きっかけとか影響された人物とか。

 

井本:
描き始めたのは最近なんだけど、割と最初から細かめに描いてるかな。作品としての影響はマックス・エルンストやスワンベリとか。ブルーノタウトのユートピア構想のドローイングは、ストレートに影響受けてる。描くこと自体のきっかけは一平くんの存在かな。

 

なるじ:
一平ちゃん?それはどういう事があったからかな?

 

井本:
17の頃に観ていたハードコアバンドにいた一平君が、TEASIやってるって5、6年前に知って、今こんなことしてるんだ!やっぱり人とは違うセンスがあってかっこいいなーって。数年前初めて会って、僕自身は創作活動していなくて、昔のハードコア界隈の話はできても今の話ができなかった。その時、自分で表現し続けてることがあるって大事だなーってすんごく感じて。後に出会った、カメラマンイガちゃん(五十嵐 一晴)、デザイナー大原 大次郎君と、数日共にした時も同じだった。尊敬する人たちに、自分のことを見て貰いたいと思った事が描き始めるきっかけで、その最初が一平君だったんだよ。

 

なるじ:
そうなんだねぇ、私も一平ちゃんとの出会いは大きいな。ことばもいっぱい貰ったな。
で、去年のON READINGでの初個展につながるんだね。実際やってみてどうだった?

 

井本:
人前で発表するなんてずっと考えもしなかったけど、やるなら今しかないと思って。黒田君に「今まで何も作ってないし、これから何を作るかもわかんないけど、とりあえず展示の枠を頂戴!」て話を持っていったんだけど、良くいいよって言ってくれたなぁ(笑)人前に作品出して凹むことも含めて、いっぱい分かったことがあったから、うん、良かったです。

 

なるじ:
幸太郎さんの描くモチーフってちょっとエロティックな印象なのだけど、植物からのイメージなのかな?

 

井本:
植物もあるけど、昔遊郭だったこの街にずっといることだったり、澁澤龍彦が好きだということが理由かも。彼の「フローラ逍遥」を買ったことをきっかけに、澁澤世界にハマって。その中でマックス・ワルター・スワンベリの作品を見てからモチーフのイメージが固まった気がする。

 

なるじ:
植物と遊郭、澁澤作品とスワンベリ。何か引き寄せるものがあったのかもね。スワンベリ作品てどんなのだろうと検索してみて、確かに、ここからのイメージが影響しているの納得。

植物といえば、ご夫婦で営む花屋「アトリエみちくさ」2号店「TUMBLEWEED」が、9/3にオープンするそうだけど、どんなお店になりそう?

 

井本:
いい加減で、気負わず、気楽に植物が買えるお店にしたいな。マニアック過ぎるサボテンとかレアな観葉植物とかは他に行って貰えばいいし。あと、出来るだけ自分で作ったものとか、誰かと一緒に作ったものも並べたいな。

 

なるじ:
それは楽しみだね!
では、「井本 幸太郎」個人としての、今後の活動は何か考えてる?

 

井本:
今春、小田島 等さんとのライブペイントから端を発した、著名デザイナー&イラストレーターに喧嘩を売って散る、という自虐イベント(笑)を定期的に開催出来るようにしたい。遠山 敦さんには「いつでも受けて立つ」と言われてる。(笑)絵やグラフィックでロイヤルランブル的な事をやってみたいな。

 

なるじ:
小田島さんとの初バトル、緊張が伝わってきたよ。観ていた場所が近かったせいか、見守る姉?母?のような気分だった(笑)あの時も「いつもの」やつ描いてて、小田島さんに「いいねこれ」て言われてたよね。
では最後に、何をしている時が一番楽しいですか?

 

井本:
何もしなくて、何も考えなくて良い時間が一番楽しい。

 

なるじ:
そうなのかっ!!(笑)

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

次回は「の」 
大橋 裕之さんへ、バトンタ〜ッチ!!!
!!!

 

これまでの糸りとり

第1回「あ」➡『赤い輪っか』成地 亜紀(2013.11.05 UP)
第2回「か」➡『風立ちぬ』遠山 敦(2013.12.01 UP)
第3回「ぬ」➡『ヌクアロファ』TMTM/Tomoe Miyazaki(2013.12.28 UP)

第4回「あ」➡『あたらしい家』松尾ミユキ(2014.2.2 UP)
第5回「え」➡『えびでたいをつる』田口美早紀(2014.3.4 UP)
第6回「る」➡『ルウェンゾリの山男』wassa(2014.4.7 UP)
第7回「こ」➡『コイル』都筑 晶絵(2014.4.29 UP)
第8回「る」➡『留守の部屋』Nobue Miyazaki(2014.6.5 UP)
第9回「や」➡『やみよやまねこやすみの国』鈴木 いづみ(2014.7.5 UP)
第10回「に」➡『二期作』塩川 いづみ(2014.8.3 UP)
第11回「く」➡『鯨のランプ』nakaban(2014.9.6 UP)
第12回「ぷ」➡『プレイバック』山口 洋佑(2014.10.3 UP)
第13回「く」➡『空中分解』狩野 岳朗(2014.11.4 UP)
第14回「い」➡『意図的な神の意思』村橋 貴博(2014.12.4 UP)
第15回「し」➡『short short show』fancomi(2015.2.3 UP)
第16回「う」➡『』藤田 道子(2015.3.12 UP)
第17回「み」➡『水揚げされた切り身』松井 一平(2015.4.18 UP)
第18回「み」➡『ミンティ』前田 ひさえ(2015.6.5 UP)

PROFILE

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井本 幸太郎/花屋的工作室道草(アトリエみちくさ)経営

名古屋市在住。
スタイリスト岡部文彦主宰VALLICANS所属、印刷担当。
アトリエみちくさHP http://www.f3193.net

<お知らせ>
9/3に、新店舗「TUMBLEWEED(タンブルウィード)」をオープン!

 

ko-tro

 

企画/ディレクション:成地 亜紀
題字:遠山 敦

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